微表情分析では、大きくわけて「驚き」「恐怖」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「幸福」「悲しみ」7つの表情に分類される。
今回は「驚き」について詳しく見てみよう。
「驚き」とは
「驚き」とは、眉(まゆ)が上がって顎(あご)が下がる、以下のような表情(写真:E/F)のことをいう。
眉や上瞼は上に引っ張られ、両眉が湾曲して盛り上がるのが特徴だ。さらに、眉の下の皮膚が引き伸ばされることで瞼が大きく開き、顎が下がることで唇と歯が引き離されて開口する。
鼻を中心に、顔が上下に開くようなイメージ。これが「驚き」の表情の特徴である。
加えて、「驚き」には異なる4タイプの特徴があるということと、おのおのの表情に隠れた意味も解説していく。
4タイプの「驚き」
ここでは、A ⇒ B ⇒ C ⇒ D の順で解説していくことにする。見出しごとに画像を載せておくので、写真と見比べながら読み進めてほしい。
Aの驚き
「驚いた表情」ということを前提に見た場合、本当に驚いているようには見えない、もしくはどことなくその表情に違和感を感じたのではないだろうか。もしそうなら、その判断は正しい。
「本当の驚き」と比較するとわかるが、眉と瞼にしか「驚き」の反応が出ておらず、眉と瞼には「驚き」の反応が出ているのに、口元はなぜか中立。
本当に驚いていたら本音が出やすい口元に一切の変化が見られないこの表情は、結論からいうとおかしい。
つまり、余計な感情が混在していることを裏付けている。
驚いているように見せようとしているが、実際は大して驚いていない。
それが事実ならビックリだが「そんなはずはない」と思っている。
恐らく凄いことなのだろうが「自分には関係のないこと」と思っている。
相手が興奮しながら話しているときに、別のことを考えている。
誰もが驚くような話をしているときにこの表情をしている人がいたら、もしかするとその人は話がつまらないと思っているか、話題に一切の興味がないのか、帰りたいと思っているのかもしれない。
また、ドッキリなどで全員が驚くはずのタイミングで一人だけこの表情をしている人物がいたら、その人間は仕掛ける側の協力者のひとりである可能性もある。なぜなら、この後で何が起こるか大よそわかっている人間は、そのときが近づいてくるにつれてカラダと脳が勝手に心の準備に入るため、心底驚くことはできないからだ。
逆に、起こると確信していたことが起こらなかったときに「本当の驚き」を見せることになる。「逆ドッキリ」などがわかりやすい例である。
Bの驚き
驚いていることに間違いはないが、冒頭の写真(写真: E/F)とは少し異なる。どこが違うか、少し考えてみてほしい。
瞼も口も上下に大きく開いているが、眉が引っ張られていない。目と口だけに動きが出る驚きは、驚きの中でも「仰天の驚き」を意味し、
え、嘘やろ…!?
そんなことって…ある!?
そんなアホな…
というときに、現れる表情となる。表情と照らし合わせると、よくわかるだろう。
Cの驚き
眉が上がり顎も下がっているが、驚いているというよりはポカーンとしているようにも見えるこの驚き。
眉と口だけが動く驚きは茫然としているときに見られる驚きで、例えば泥酔しているときや睡眠薬などを過剰摂取しているとき、薬物常習者などが見せる驚きの表情がこれに当たる。
疲れが溜まり過ぎていたり、過度の睡眠不足の場合にも見られることがある。
Dの驚き
眉がうえに、瞼が上下に引っ張られて目は見開き、顎が下がって唇と歯も引き離されている。眉、目、口の3領域をカバーした驚きで、余計な感情が一切混在していない「完璧な驚き」である。
慣れるまで難しいと思うが、同じ「驚き」でも、A,B,C,Dそれぞれの表情から別々の感情を受け取ることができれば、まずはOKだ。
おわりに
今回は「驚き」の微表情について紹介、解説をした。
実際にこれらの表情を自分で作ってみると、どういうときにその表情になりそうか、またはその表情をしたときにどういう感情下に自分がいるかを比較的近くに感じられるようになるだろう。
経験と訓練は必要になるが、感情は表情ともっとも結びつきが強いこともあり、自分で表情のシミュレーションをしておくことで、相手のわすかな表情の違いやその奥に隠れている真実に近づけるようになる。
次回は「恐怖」について解説したいと思うが、「驚き」と「恐怖」は感情的にもかなり近い関係にあるため、表情の特徴も似ていることからその判別を間違うことも少なくない。
「驚き」とは、予期せぬ出来事や予期に反したことから起こる感情で「恐怖」とは完全に別物である。
驚きの根本にあるものが判明した時点で、その感情は一瞬にして別の感情に変化する。
コメント
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微表情、はじめて知りました。次の恐怖の記事も楽しみにしています。