人は怯えたり恐怖を感じたりすると、ほんの一瞬顔がひきつることがある。
これは、恐怖が括約筋という筋肉と神経伝達によって直結しているために起こる制御しようのない反射的行動だ。
ちょっと下(シモ)の話で勘弁してほしいのだが、人は普段の生活の中でも肛門を閉めるという動作を無意識に繰り返している。
女性の感覚がわからないので男性で例えるが、肛門を閉めようよするとイチモツにも力が入っているのがわかるはずだ。逆にイチモツに力を入れると肛門も連動して閉まっているのを体感できるだろう。
そして、それらをどちらか片方だけ動かそうとすると必ず同時に動いてしまう。
尿意や便意を感じたときにすぐにトイレに行けず、我慢したり辛抱しなければならなかったりすることはよくある。そんなときに垂れ流しにならないよう尿意や便意を我慢できるのは、大脳が括約筋に収縮命令を出すことによって排尿や排便を抑制しているからである。
「恐怖」と「驚き」の違い
恐怖は「驚き」と混同されやすいが、驚きの直後に襲ってくる感情が恐怖である。
恐怖 … ある特定の事象を認識した直後に襲ってくる感情
例えば、こんなケースをイメージしてみてほしい。
このケースの場合、顔を戻したときに何かがいると気づいた瞬間に襲ってくる感情が「驚き」、そしてそれが「人」だと認識した直後に襲ってくる感情が「恐怖」である。
このとき、「驚き」が「恐怖」に書き換えられるまでの時間は0.2秒未満となる。
恐怖と括約筋
冒頭で括約筋について触れたが、恐怖と括約筋は直結している。
恐怖の種類やその人が受ける恐怖の度合いにもよるが、人は怯えているときや恐怖を感じているときに括約筋の収縮が起こることがよくある。
これは、神経伝達によって起こる反射的行動なので意識的に制御することはほぼ不可能である。
人は恐怖を感じたとき、自分の身を守ろうと体を丸めたり背中を向けたりする。例えば、顔の横で窓ガラスが割れる音がすると、すでに割れているのに反射的に手や肩をあげて顔を覆い、腹をかばうように窓際に背中を向けるだろう。
こういった一連の動作はもともと人に備わっている防衛本能による行動なので、顔や体をガラスが割れる音がした窓際に向ける人はまずいない。安全を確認したのちに、はじめてその事実を確認するために顔や体を向けるはずだ。
恐怖を意図的に再現するのは難しいが、怯えたり恐れたりしているときは体にも力が入りやすい状態にある。自分ではなかなかその瞬間を確認することは難しいかもしれないが、緊張しているときや集中しているときに括約筋は収縮することが多くなる。
表情がひきつる
隠し事やバレると都合の悪いことが捲れそうになると、人は少なからず恐怖に襲われるようになる。
バレたらどうしよう…
という恐怖で、バレることによってどういう事態が起こるかがわかっているケースに多い。
こんな例をイメージしてみてほしい。
そこに、
知らなくても、声は聞いたことがあるのでは?
という事実を突かれた瞬間に男は以下の表情を見せた。
向かって左目下(右目尻下)あたりが一瞬ひきつっている。
無意識に動く括約筋の収縮は一瞬であり、収縮した直後に弛緩する。表に出すまいと抑えようとしているときにもっともなところを突かれると、括約筋の収縮が神経伝達によって表情にもリンクする場合があるのだ。
当然本人はその事実に気づくはずもなく、表情がひきつった自覚すらない。
おわりに
今回はの記事は、表情がひきつる背景には恐怖と括約筋の関係が絡んでいるという点について紹介したが、「括約筋が収縮する = 表情も毎回ひきつる」ということではない。
緊張や恐怖の度合いによっては表情にまでその反応が到達しないこともある。
ほとんどその瞬間に気づくことはないかもしれないが、括約筋の収縮は普段の生活の中でもかなりの頻度で起こっているのだ。
・ 仕事でのクレーム対応中
・ 異性と初めて手を繋いだとき
・ 慣れない車を運転しているとき
・ 絶対に採用されたい企業の面接中
個人差はあるが緊張が伴う恐怖に駆られているときは下半身に力が入りやすくなり、括約筋の収縮が起こりやすくなる。
相手の表情がひきつったときは、何らかの理由で緊張と恐怖に駆られている可能性が高い状態にあるといえるだろう。
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