人と動物では、同じものでも見えている色が異なることがわかっている。これを色覚(色彩感覚)といい、人ほど色を識別できている動物はいないと言われているが、逆に人が見えない色まで見えている生物も全体で見ればいると言われている。
例えば、「海は何色?」と聞かれると、今この瞬間にほぼ全員が青系統の色をイメージしたはず。透きとおった透明感のある海を想像した人もいれば、汚れたドス黒い海が頭に浮かんだ人もいるかもしれない。しかし、青を識別できない生物に海は青く映っていない。
色の識別は生物によってわかれ、人は3原色( 赤・青・緑 )、犬や猫は2原色( 赤・青 )、昆虫にいたっては複眼という機能が備わっていることもあり、4原色(赤・青・緑・透明『紫外線』)まで識別できると言われている。
また、馬や牛はほとんど白黒にしか見えておらず、もっとも識別できる色は黄色、次に緑、赤や青は認識できない場合もあるようだ。
人と色
世界初の有人宇宙飛行で地球を外から見たガガーリンは、
地球は青かった
という言葉を残し、海を青色と表現している。しかし、バケツや水槽に海水を入れたところでその海水が人の目に青く映らないことはご承知のとおり。
人は自分の目に映ったものには疑いを持たないので、人間の色覚が必ずしも正しいとは限らないと仮定すれば、そもそも海が青いかどうかも定かではなくなる。しかし、水族館などに行けばやっぱり青く見えたり、外の光が差し込んでいる場合はどちらかというと、青というより緑を薄くしたような色に見えていることもあるほか、光やエサなど水の汚れ具合でも、人の目に映る色はその時々で微妙に変わってくる。
消防車と言えば赤、山と言えば緑、マイクロソフトやWindowsと言えば青、AppleやMacと言えば連想されるカラーはグレー…。
そんな感じで、いつの間にか脳に刷り込まれている定着したカラーというものが人にはあり、人は生活の至るところから色による影響を強く受けているのである。
人によって色の好みはわかれ、物によっても人はその色を無意識に使い分けているが、今回は代表的な赤色、緑色、青色、紫色、橙色の5色と人の関係を心理学上の解釈で解説していくことにする。
赤色
赤は特に記憶に残りやすい色で、暗闇の中や遠くの方からでも見える、もっとも印象に強く残る色と言われている。公共のものでも危険や緊急を要するパトカー、救急車、消防車、信号、オービスなど、すぐに思いつくだけでもいろんなところで赤が使われている。
マクドナルドやケンタッキー、餃子の王将などの外食産業、ラーメン店や居酒屋なども、食欲をあおるために看板の背景に赤色を採用しているところが多いことに気付いていただけるだろう。
余談になるが、直感でいいので
好きな果物をひとつ思い浮かべてみてください
と言われると、あなたは頭になにを思い浮かべるだろう?
答えはこの直前にあるので、少し考えてみてほしい。
ローカルのラーメン店では「黄色」を使うところも増えてきている。「来来亭」「横綱」「第一旭」「幸楽苑」などは看板に黄色を採用している。カレーの「CoCo壱番屋」も黄色。
なぜ黄色を採用するところが多いかというと「黄色×黒」の組み合わせは「警戒色」といって、お客様に足を止めてもらいやすくなる効果があるからだ。
踏切にも黄色と黒が使われているし、殺人事件などがあったときに警察が使う立ち入り禁止を示す「KEEP OUT!」のテープも黄色に黒字である。
緑色
緑を好む人は慎重な人が多く、そう簡単に人を信用しないタイプの人が多いと言われている。自分の知らないことや新しいことには、それによって自分が背負うことになるかもしれないリスクや恐怖を考え、新たな結果よりも自分の安全や安定を最優先に考える人が多い傾向にある。
ただ、親友や身内など、自分が信頼を置いている人にはとことん信じ込んでしまうタイプで、慎重な分、騙されたり裏切られたりするときはかなり大きな被害を受けやすいのも緑が好きな人の特徴である。
青色
青は集中力をあげたり、ストレスを軽減させる色と言われている。
デスクワークの多い方、パソコンをよく使う方は、特にこだわりがなければデスクトップの壁紙を青系の色にしておくのもひとつの方法である。Windows の壁紙がデフォルトで青になっているのもそういったことが理由と言われている。
また、パートナーと喧嘩したり、問題になっている話を解決するときなど、意見がぶつかって話をまとめたいときは、青系統の服にすると相手の怒りを最小限に抑えられる効果もある。心理的には赤が大きく、青は小さく見える色なので、逆にこういうときに赤色などの派手な服で行くと返って相手を興奮させ、余計に話が荒れる可能性が出てくるので注意したほうがいい。
ビジネスで立場や地位が上の人と最初に接触するときのスーツは、黒よりも紺やグレーのほうが相手に与える印象が良くなるというのも、これと似ている。
あと、テレビなどで闘牛士が赤い布をチラつかせているのを見たことがあると思うが、あれは牛にはまったくといっていいほど効果が働いていない。なぜなら、前述したとおり、牛は目から入ってくるほぼすべてのものが白黒にしか見えていないため、青や赤は認識していない可能性が極めて高い( 研究で証明済 )からである。
布に赤が使われているのは、人が赤いものを見たときに興奮したり食欲がわいたり、危険や緊急のものに赤が多く使われていることから、人の色覚( 色彩感覚 )が基準になっているだけである。
紫色
紫は富や権力、女性なら美しさなどを表す。
紫の下着を着ける女性はエロい
という話を聞いたことがあるかもしれないが、あれは紫を選ぶ女性がエロいというよりは「女性らしくありたい」という、女性の心が色で表現されたものである。
お金が好きな人も、紫に反応しやすいと言われている。
橙色
橙色( オレンジ )は黄色と赤の間のような色であまりはっきりしない色だが、暖色系の色になり二日酔いなどを悪化させる原因と言われている。
アルコールで気持ち悪くなっているときにオレンジを見ると余計に気持ち悪くなる人もいるので、二日酔いのときはオレンジ系統の色は避けたほうがいいかもしれない。
終わりに
無意識に選んでいるものでも、何色を選ぶかによってその人の特徴が色には出るもの。大人しく控えめな性格の人は寒色系の色を好むのに対し、目立ちたい人や自分の存在を周りに知ってもらいたいと思っている人は暖色系の色を好む傾向がある。
付き合って一発目のデートや一回しかチャンスがない重要な場面では、その人の性格が色に出やすくなるので覚えておくと参考になるかもしれない。
コメント
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りんごが頭に浮かびました。
答えを見て納得しました(>人<;)
怖い…