心理学の多くは目に見えるものではなく、潜在意識に作用するものが大半を占める。知っていて損のない知識であり、活用できるようになればスキルに変えることも可能だ。
心理を知るということは人を知ることに直結するので、興味のある方は以下に記述する15選は覚えておくと参考になるときがくるだろう。
アンカリング効果
アンカリング効果とは、最初に提示された条件や数字が脳にすり込まれ、それが基準となることで意思決定をしてしまう心理現象のことをいう。
家電量販店などに行くと・・・
63000円 → 39800円!!
5月15日~5月31日まで9800円 → 5000円OFF!!
のように、必ず目に入る場所に赤字で設置されているのを見たことがあるはずだ。
目に見える形で条件や数字を提示することで・・・
得をしたい
良いものを安く手に入れたい
今しかこの金額で手に入れられない
という心理を押し、商品購入または決済につなげる効果として使われている。主婦の方なら、毎日のようにスーパーなどで目にされていることだろう。
カクテルパーティ効果
カクテルパーティー効果とは、周囲がどれだけうるさい状況でも自分に関係のある話には自然と意識を集中させてしまう現象のことをいう。
経済に関心がない人は、株や為替にも関心がない人なのかもしれない。しかし、投資で生計を立てるトレーダーなら嫌でも関心をもつだろう。
また、友達数人で集まっているときに自分の業界に関するライバル会社のニュースをテレビで放送していたら、友達の話よりもテレビのほうに耳を傾ける、その人にとっては関心を持たずにはいられない瞬間になっているかもしれない。
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは、禁止や注意を受けることで逆にその先が気になってしまう心理のことをいう。
絶対に見ないでください。
関係のない方はこの先を読まないでください。
アダルト系のコンテンツを含むサイトのトップページに設けられている年齢認証なども規則で確認ページを設けているが、逆にそれがこの効果を呼んでいる場合がある。
18歳未満の方のアクセスを禁止します。
20歳以上の方のみアクセスできます。
そう言われると、余計にその先を覗いてみたくなる時期もあったのではないだろうか?
希少性の法則
希少性の法則は、いつでもどこでも手に入るものは価値が低く、数が限定された限られた人しか所有できないものほど価値があると考える心理のことだ。
先着10名様限定
世界に3台
本日限り有効
2006年に元サッカー日本代表の中田英寿選手がクロアチア戦で履いたスパイクがハイチ救済のチャリティとしてヤフーオークションに出品されたが、1億3000万円を超える値がつき、ヤフーが入札者に落札の意思確認を行うなど対策に動いた。
オークションは入札時間にも縛りがあるため、有名人や芸能人が関わっている場合は狂ったような値がつくことも珍しくない。
権威への服従
人は権威に弱く、専門家やその道のスペシャリストの言うことは正しいことだと信じている。
自分の意思で判断できないときは権威を最終的な判断材料にすることも少なくない。
ハーバード大学○○教授の研究結果によると…
芸能界一美人と言われる○○も長年愛用している…
世界的に有名なハリウッドスターの○○も認めた…
新しく発売される商品などには誰もが知っている有名人を起用し、商品自体に信用をすり込ませるCM、広告も少なくない。歌手の安室奈美恵さんが厚底ブーツを履いたことで多くの若い女性が当時、彼女のスタイルを追うようにマネ、それによって企業も多大な売り上げを立てた。
商品やサービスに権威をかけることで信用が移転し、バイラル(口コミ)がかかるようになる。
ザイオンス効果
単純接触効果ともいう。
接触頻度が多くなればなるほど好感度や印象が良くなり、相手に心を開いたり欲求を受け入れやすくなる心理現象のことをいう。
就職されている方は入社当初、周りは知らない人ばかりでそれなりに緊張もあったと思う。あなたが入社一年以上経過しているなら、食事をしたりプライベートな話をできる社員も一人や二人はいるだろう。
しかし、社員の誰とでも食事をしたいとは思わないだろうし、プライベートな話ができる人も限られているだろう。個人的な付き合いや話ができる人というのは、それだけ過去の接触頻度も高いはずだ。
他の人に比べて話をする機会が多かったり、性格や考え方が自分と似ていたり…。
これは、他の人と比べて接触回数が多くなったことで構築できた関係といえる。これがザイオンス効果である。
社会的証明の原理
人は周りの行動につられたり、少なからず影響を受けるものである。
街を歩いているとき、異常な行列ができているラーメン屋を目にしたことはないだろうか?
並んでしまうと、かなり時間を取られるのでそのときはパスしたかもしれない。しかし、ラーメン好きな人であれば自分の知らないラーメン店にこれだけの行列ができているという事実は、一度その味を自分の舌で体験してみないことには気になって落ち着かないのではないだろうか。
ディドロ効果
ディドロ効果というのは、今の基準よりも高いものを所有した場合、もともと所有しているものを、より高い水準に統一しようとする心理のことである。
1億円の宝くじに当選したとして、そのお金をどう処分するかは本人が決めるわけだが、欲が強い人は一つや二つの消費では終わらないかもしれない。家の中にある家具や家電一式を買い替えたり、今までは買えなかったものを買ってみたりする人もいるだろう。
また、わずかな追加料金や地位をあげることで今までより都合がよくなるというシステムが至るところで存在する。アバターやソーシャルゲームをご存知の方は、この意味がよくわかるはずだ。
同調現象
同調現象とは、周囲と同じ行動をしていると安心し、自分だけ周りと違う行動をしていると正しいことでも不安になる集団心理のことをいう。
ある一定数の人が同じ行動を起こしていることには意味があると解釈し、社会的な承認効果によって周囲に同調した判断をするようになる。
意思が弱い人や感覚だけで物事を見ようとする人は同調現象に影響を受けることが多いと言われており、強い志と明確な信念をもっている人は最後まで自分を貫くだろう。
バーナム効果
バーナム効果とは、誰にでも該当するような曖昧で抽象的なことでも、自分と関連付けられて話されることで自分だけに該当する正確なものと解釈してしまう心理のことである。
不安を抱えている女性に強く働き、占いがその代表格となっている。
※バーナム効果はフォアラー効果ともいう。
ハロー効果
ハロー効果とは、対象となるものを評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられることで他の特徴の評価が良くも悪くも歪められる現象のことをいう。
例えば、警察のキャリア。キャリアなので学生時代は努力されてきたわけだが、キャリアというだけで警察らしい仕事をしているかどうかは側近の人間にしかわからない。
企業や組織の多くは、末端の社員がもっとも苦労しながら頑張っていたりするものである。それなのに、キャリアというだけで市民のための優秀な警察官と評価されたりする。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、サービスの購入や利用者が多ければ多いほど、顧客一人ひとりの満足度や安心感が高まっていく心理現象のことである。
iPhone7 が3キャリアから発売されたが、予約販売が開始された当初はどこで聞いても圧倒的にジェットブラックに予約が偏っていたようで、同時期に発売されるそれ以外のカラーには、ブラックを除いてほとんど予約がない状態だった。
あなたがジェットブラックを購入しようと考えていた場合、購入後数日で「完売」「入荷待ち」という情報を聞きつけると、「早くから予約しておいて良かった…」と思っていただろう。これもバンドワゴン効果の一例である。
フロー理論
フロー理論とは、人がある1つの活動に没頭している状態で、その経験自体が楽しくなっている状態を指し、高い集中力、楽しさ、満足感、状況のコントロールや自尊感情の高まりを経験することで、その活動を遂行するためのより複雑な能力を身につけていくモチベーション理論のことをいう。
何かに没頭するのはとてもいいことである。
どんなことでも関心や興味をもって全力で取り組むことはその経験からあなたを成長させるための多くのスキル、マインドを形成することにつながる。
返報性の原理
人は何かしらの恩恵を受けると、お返しをしなければならないという心理が働く。無神経で恩知らずの人は何も感じないかもしれないが、普通の人なら必ずそういう感情はあるものだ。
食品コーナーにある試食品を試したあとに、その商品を買ってしまったという経験はないだろうか?
例えどんなものであっても、食べ物はお金を支払わないと手に入れられないものである。
「働かざる者食うべからず」と言うが、仕事をしていない人間は食べる資格がないという認識から、例え試食品であってもお金を払わずに食べると味が良い悪いにかかわらず、商品を買わなければいけないという心理に襲われる人も少なくない。
保有効果
保有効果とは、自分が保有するものに価値を感じ、手放すことに抵抗を感じる心理のことである。
○ヶ月試して効果がなければ、お預かりした代金を全額返金させていただきます。
という案内を見たことがあるだろう。深夜の通販番組でもよく使われている。「気に入らんかったら返品できるし、代金も全額返ってくるから試してみよう・・・」と思って買った商品もあると思うが、実際に返品したことはあるだろうか?
一度自分の手元に来てしまうと、人はなかなか返そうと思わないものである。
「買ったものを使う機会がないとわかっているのになかなか捨てられない」という女性は多い。
まとめ
人は生活の中であらゆる心理に影響を受けている。
外食産業の看板にはなぜ赤色が多く使われているのか
世界中の信号機はなぜ赤・黄・青で統一されているのか
買い物は好きなのになぜ売り込まれるのは嫌いなのか
自分と共通点が見つかるとなぜ人は親近感を抱くのか
確実に目には映っていることでも、それが生活の一部として当たり前のようになっている人にとっては、見ていても見えていなかったりする。
潜在意識にすり込まれる情報が多くなればなるほど人は説得されやすくなるという統計が出ているので、心理学に関する知識は多少なりともあったほうがいいかもしれない。
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